フランス産チーズの特徴は、そのバラエティの豊かさ。土地風土ごとに各地で違うチーズが作られているので、ありすぎて難しく感じられますが、大まかな種類を知っておくと選びやすくなります。
フロマジュリーもスーパーのチーズコーナーも、下記のようなタイプ別に陳列されています。もし迷ったら、まずはAOPマークのついたものを探してみてください。フランスの伝統的なチーズで厳しい基準に沿って作られている証であり、46種あります。
多くのフロマジュリーでは旅行用に真空パック(sous vide)も行っています。ソフトタイプは食べ頃かどうかも大切なポイント。すでに熟成している(bien fait)ものがよいのか、少し若め(pas très fait)がよいのかを指定したり、いつ頃食べるかを伝えたりするとよいでしょう。また、量り売りのものは小さいカットで買うことも可能なことがほとんどです。店頭に並んでいるものが大きすぎるときは、切ってもらえるか遠慮せずに聞いてみてください。
ナチュラルチーズの分類
■フレッシュ(Frais)
原料乳を固めて水分を抜いたあと、熟成させずにすぐに食べられるタイプ。フロマージュブランやフェセル、イタリアのモッツァレッラなどがあります。
■ソフト(Pâtes molles)
・白カビ(Croûtes fleuries)
外皮が白カビに覆われたタイプ。周囲から中心に向かって徐々に熟成して柔らかくなり、風味が強くなります。代表格はカマンベールとブリ。一方ブリヤ・サヴァランや、スーパーでおなじみのカプリス・デ・ディウは生クリームを添加してあるため口溶けがよくやさしい味わいです。
・ウォッシュ(Croûtes lavées)
熟成過程で表皮を塩水や地酒で拭いて仕上げるタイプ。洗うことで粘り気を好むリネンス菌がチーズの表面に繁殖し、他の雑菌から守って熟成を促しながら、独特のオレンジ色と強い香りを与えます。マンステールやエポワスのように
強烈な匂いのものから、モンドールのように穏やかなものまで香りの強さはいろいろですが、どれも口当たりはまろやかです。
■ハード(Pâtes dures)
そのままはもちろん、お料理にも大活躍する硬いタイプ。製造時にチーズの生地(pâte)を加熱しないままプレスする非加熱圧搾(pâte pressée non cuite)と、加熱してより水分を抜き保蔵性を高めた加熱殺菌(pâte pressée cuite)タイプに分けられる。前者は日本ではセミハードとも呼ばれ、代表はカンタル、トム、後者はコンテ、エメンタールなど。どちらもフランスの日常に欠かせません。
■青カビ(Pâtes persillées)
ブルーチーズと呼ばれるタイプ。青カビの強さはやさしいものから刺激的なものまで幅があります。他のチーズに比べ塩分が強めなため、甘口ワインやハチミツのように凝縮した甘味との相性が抜群です。フランスチーズAOP第一号である羊乳製のロックフォールと、その他多様なブルー(Bleus)に分けられます。
■山羊(Chèvres)
シェーヴルとは雌山羊のことで、山羊乳製のチーズの総称でもあります。シャヴィニョル、サントモール、ロカマドゥール、ピコドンなど、小型でバラエティに富んだ形をしています。管理が難しいチーズでもあるので、フロマジュリーで買うことをお勧めします。