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年金改革:両院協議会、妥協案を策定

両院協議会は15日、年金改革法案の妥協案を策定した。妥協案は16日に上下院で一括採決される。連立与党が過半数を確保していない下院では、保守野党の共和党の協力取り付けが鍵となるが、多数派を擁立できるかは微妙な情勢。
妥協案では、定年年齢を62才から64才へ引き上げる方針が維持された。2027年に国会審議を行い、見直す可能性を確保した上で年齢引き上げを盛り込んだ。懸案の就労期間が長い人への処遇では、21才以前に就労を開始した人に63才からの退職を認める方針を盛り込み、その拠出期間を44年間から43年間に引き下げることも決めた。これらの措置の費用は7億ユーロに上る。
子どものいる女性については、出産・育児に係る拠出期間認定を含めて63才で退職可能となる女性について、5%の支給額増額を認めるとの措置が盛り込まれた。ただし、増額を得るためには64才での退職が必要になる。これは、出産・育児に係る拠出期間付与の恩恵を受ける女性が、定年年限引上げによりその恩恵を実質的に失うことがないようにする目的で、補償措置として導入された。
定年年齢引き上げに伴いシニア層の失業者が増える懸念があるが、その対策として導入されるシニア雇用の企業評点制度については、従業員数300人以上の企業に導入義務が設定された。公表義務違反の企業には最大で年商1%の罰金が科される。シニア雇用促進を目的とするシニアCDI(無期雇用契約)の導入(60才以上、1年間の試用期間を設定)も盛り込まれた。

KSM News and Research